「彼女がいること」とファン精神

〜 「コアラのリボンにひとめぼれ!」の顛末記 〜

0. 能書き

「コアラのリボンにひとめぼれ!」のラジオネームを知ってる人間は, 彼のひとつの有名な他称である「彼女持ち」の事実もまた知っている ものと思われる.このページは,そのラジオやイベントでの「彼女」 の関連についてだらだら述べるものである.はっきり言って,読んでも 嬉しくないと思われるので,時間に余裕のないかたは無視することを お勧めする.


1. いちばんはじめ

ラジオネーム「コアラのリボンにひとめぼれ!」が世に出たのは,1996年 8月,鎌倉FM夏の特別企画番組「さるカニ合戦!」であった.テーマ投稿 「The 夏の恋」を募集しているのを知った私はちょっとセンチメンタル な恋愛話を投稿した.内容は詳しく述べないが,それが菊池志穂と「彼女」 との出会いであった.次の週には「The 夏の思い出」というテーマで その続きが読まれ,鎌倉FMのリスナーの皆様には記憶にあるのではないか と思われる.


2. 伝説のコメットアタック

ラジオネーム「コアラのリボンにひとめぼれ!」が全国的に知られる 可能性を生んだのが,1996年9月13日放送のAM-KOBE「電脳戦隊ヴギィ'ズ☆ エンジェルSR - 完全公開録音 -」であった.録音は8月30日に東京 よみうりホールにて行われた.もともとこの公開録音には行く予定が なかったのだが,知り合いが所用で出られなくなり,そのかわりに私が 偶然出られることとなった.それが最初だった.

7月から8月にかけ,ラジオでは「出席をとります」ということで, イベント参加表明葉書を募集していた.私は普通の投稿葉書と同時に 出席葉書も投函した.

当日,ほぼ最前列に座る私.イベントは刻々と進み,公開録音が始まる. そして「真夜中のコメットアタック」のコーナーとなった.最初に読まれ たのが,私「コアラのリボンにひとめぼれ!」の葉書.内容は彼女に遊園地 に連れて行かれ,絶叫マシーンの嫌いな私を無理やり乗せた…というもの である.そして最後の P.S.が読まれたとたん,会場全体ブーイング大合唱 となった.

「P.S. でも,愛してるからねっ」

「のろけてんじゃねーよこの野郎!」というショッカーO野氏からの ツッコミもあり,会場は騒然となる.最後に,普段からたまってるムッと したきもちを今ここでぶつけましょうということでコメットアタックの 合唱になるのだが,その「コメットアターック!」の叫びの多くが私の 方を向いていた,という事実は疑いようもない….

こうしてこの内容がラジオにのり,コアラのリボンにひとめぼれ! は 「千人コメットアタックの…」という冠を乗せられることとなる.


3. 彼女持ち顕在化

ラジオネーム「コアラのリボンにひとめぼれ!」と彼女との関連はこの ようにセンセーショナルに報じられたのだが,それ以降実はヴギィなど の全国展開では「彼女」に関するネタは採用されていないのが現実で ある.ではどこで顕在化していたか.それは,1996年10月5日から12月28日 まで,鎌倉FMに復活していた「おさるのさんぽみち」という番組において である.

菊池志穂ひとりで1時間,歌を交えてしゃべりまくる(この表現が適当 かどうかは微妙だが)この番組では,コーナーのあるなしを問わずたくさんの FAXや手紙が届いていた.鎌倉のコミュニティFMにもかかわらず, 多くの他府県からのFAXが当日届いていたりするあたりは多少他の番組 と違っていたといえるが….

ラジオネーム「コアラのリボンにひとめぼれ!」はこの番組中でおおよそ 10回以上の採用を受けている.その中で「彼女」に関する投稿は 実のところ3ないし4回程度ではなかったかと思っている.もちろん, 「彼女」をからめた投稿自体は10や20に達しているわけで,菊池志穂 個人の中には「ああこいつは彼女ネタ振ってくる奴だったな」という 意識ができあがっていたかも知れない.もとい,できあがっていた.

最終回,本日のテーマ「あなたの元気のもと」という場面で,私は 即刻,一言だけ書いてFAXを送った.オープニング後の曲が終った と同時に,そのFAXが読まれる.内容はこんなふうだった. 「あー,やっぱりきたよ.ラジオネーム「コアラのリボンに ひとめぼれ!」さん.「彼女」.……もう,周りの人なぐっちゃってください」 その場にいたリスナーに散々殴られ(殴ったふりをされ),そこで私の 「彼女持ち」性質がもっともはっきり顕在化した.


4. 国営放送局と彼女と番組主旨

その頃,菊池志穂がNHKに出ていたことを御存じだろうか.あの報道 番組「クローズアップ現代」(1997年1月13日放映)である.実はあの 番組に菊池志穂が出る きっかけを作ったのは他ならぬ私…であったと思っている.元々 ヴァーチャルアイドルというヨクワカランモノの取材で私のホームページ に矢が当てられ,取材されることになったのがことのはじまりである.

番組を見たかたはおわかりと思うが,あの番組構成は,ヴァーチャル アイドルなんぞにウツツをぬかすワカモノはちょっとオカシイんちゃう? というような雰囲気の構成であった.もちろん,多少なりと知識のある 人間であればあの番組根本的になんかおかしいんちゃうか? 程度のこと は気づくと思われる.で,その主旨にもかかわらずというか,おおざっぱに 言えば「ヴァーチャルアイドルをとりまく人々の状況」を知りたかったの ではないかと推測されるのだが,私とその「彼女」とのことを取材させ てほしいということになった.

結局番組主旨とかみ合わないのでそのカットはおじゃんとなり,実質 幻の「彼女」インタビューとなったが,そういった顛末を知る人々にとり, またなぜかそのインタビューの内容を知っている人々にとり, ラジオネーム「コアラのリボンにひとめぼれ!」と「彼女」は,切っても きれないものになってしまったのではないだろうか.

推測ではあるが,このインタビューの様子(つまりボツインタビュー), 菊池志穂本人は見ていないものと思われる.理由は次で.


5. 遂に登場! ちぇりっしゅ・もんきぃと「彼女」

1997年2月22日.ちぇりっしゅ・もんきぃのデビューイベントが 東京お茶の水で行われた.そのさい,私は大きなお土産を菊池志穂に 「連れて」いった.イベントに来ていた方々は,あのとき座席最前列 中央左右が女の子だったことを覚えているだろうか? その舞台に向かって 右手の長髪の女性が,「彼女」だったのである.

このイベントでは最後に会場の皆さんを舞台に上げてチョコレートと 参加記念を配ることになっていたのだが,その時に私は初めて,現物の 彼女を現物の菊池志穂にひきあわせた.そのとき初めて,私の顔と 「彼女持ち」のラジオネーム「コアラのリボンにひとめぼれ!」とが リンクしたようであった.あのときの表情は未だに記憶に深い. そして,それと同時に座席のほうから「彼女持ち〜っ!」という かけ声がかかったこともよく覚えている.

それ以降,もうイベントなんぞこりごり(正しくは,「わざわざ自分の 彼氏のファンの声優の『女』のところになんぞ行きとうない」というもっともな 御意見)ということで,イベントには連れて行くまいと決心していた. ところがその私の決心もゆらぐことになる.その理由は後ほど.


6. 菊池志穂の逆襲

それ以降,菊池志穂どハマりのラジオネーム「コアラのリボンにひとめぼれ!」 は全国各地を津々浦々とイベントに参加.告知に菊池志穂という文字列があれ ば必ずそこにいるとまで言われるようになったのは,多分1997年6月8日の 青森にまでいた,という事実を知られて以来ではないかと思う.

そんなわけで,私のことは菊池志穂にすっかり意識されているようで 例えば1997年8月13日の広島ANAミックスコンペディションでの表情や 同14日のインターネットラジオ「マッコウ・春菜のまるみえネット」 での私の名前に対する反応を見てもそのことは見て(聴いて)とれている. まさにファン冥利に尽きる…といったところである.

逆襲の話をしよう.それは1997年9月7日,あやかし忍伝くの一番ボイス グラフィー発売記念イベントでのできごと.その日は東京ゲームショウ が同時開催されており,イベント参加者はほとんど皆ゲームショウからの ハシゴ(同日午前中に「アルナムの翼」トークイベントがあった)という つわものぞろいであった.しかも小さなイベントということで,イベント はアットホームな雰囲気で進められた.はっきり言って,どこぞのサークル のオフ会みたいな様子でもあった.

逆襲は,司会の人が私の質問を読んだときに起こった. 「次は……コアラのリボンにひとめぼれさん」その直後,菊池志穂が 素早いツッコミを入れた.

「彼女元気?」

わかっているらしい会場は一気にどっとわいた.今日は別件で東京に 来ている旨を伝えると,ちゃんと一緒にいてあげなきゃといわれ, これから飲みに行きます,とつい口走ったりと焦りまくった私であった.


7. サイドアタック

1997年9月27日,朝早く秋葉原にいた方々はもしかすると,ちぇりっしゅ・ もんきぃ振りつけ「頑張れ! 男の子」を見られたのではないだろうか. それはともかく,この日はあやかし忍伝くの一番PS版の発売記念イベント があった.予想されるとおり,イベントは前回4日と比較しても引けを とらないくらいアットホームなものとなった.

サイドアタックは,私の二つ右隣に座っていた某氏の質問が投げられた 直後だった.「彼女にイベントと私のどっちが大事なの? と責められて います」という内容の質問.私が出したのでは決してない.菊池志穂の 答は彼女を大事にせよというもの.それで終っていれば何事もなかったの だが,そこで菊池志穂のサイドアタックがみごとに私のみぞおちに食い 込んだ.

「そこにもう一人,後でフォローしなきゃなんない人がいるよね」

最前真正面に座っていた私にむかって平然と言い放つ.ここまで言われれば もはや本望である.そして,「たまには彼女連れてきてあげなよ」 とのお言葉,その場は彼女が来たがらない旨を伝えたものの,ちょっと ゆれている.

「彼女」にその話をしたら,笑っているだけだった….


8. 後書きにかえて

とりあえず次のイベントまではしばらく間がありそうなので,その間に 学生としての活動をしつつ,彼女と菊池志穂と,これからの自分を見つめ直 してみるのもいいかなと思っている.見つめ直したところで,彼女とは これからも変わらないつき合いだろうし,菊池志穂のファンを止める 気も毛頭ないので,全然変わらないのかもしれない.

それはそれで,いいか.


kuramoto@ics.es.osaka-u.ac.jp