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0.予感.

8月26日午前2時.私は大垣発東京行き臨時列車の中で目が覚めた. ふと気づくと,電車が停車している.あまりの長時間停車に目が 覚めたらしい.なぜだろう? そう思う私の耳に車内放送が流れた.

「ただいま東海地方の豪雨によりまして,電車がストップしております.」

私はまどろみながら思った.さすがは菊池,雨女だ.

1.嵐前

8月26日午前11時30分.新宿駅西口バスターミナル付近には,謎の 荷物の山ができていた.一泊旅行にしてはやけに巨大な旅行かばん, スーツバッグ,やけに目を引いた妙に大きなクーラーボックス.さ らに次々とかばんの中から現れる電子機器,そして麻雀セット.そ の場には全部で50人ほどしかいなかったのだが,荷物は人間を圧倒 するほどの量であった.

ビール2ケース,ワイン4本.ソフトドリンクペットボトル4本に氷を 大量に放り込んだ二つのクーラーボックス.おつまみの山,種々の プロセスチーズたち.ウィスキーのボトルも持ち寄られていた.小さな クーラーボックスは電源で冷蔵庫にもなる優れモノであったし,一体 我々は何をしに行くんだろう? (笑)

次々と現れるどこかで見たような人々.かわされる挨拶.その横を 通り過ぎるネクタイ姿の男たちが,今日が平日であった事を思い知 らせていた.私はいつもの帽子をかぶり直し,来る出発に備えた.

2.出発

8月26日,午後0時29分.ほうほうの体で荷物をバスの荷台に詰め込み, ほぼ全員が着席.ゴールすんぜんっならぬ出発寸前に駆け込んでくる 参加者あり,結局駆け込み失敗という哀れな観客もありで,バス全2台 は東京を後にする.

私はやたら仲間だらけの2号車.はじめは「実は2号車しかないんちゃう んか!?」と思わせるほど周囲全員2号車というありさまであったが,ちゃ んと2台とも満席であった.添乗員さんはエンターテインメントワールド の吉野さん.ちょっと雰囲気がかの〜ちゃんっぽい人である.まず最初 に志穂ちゃんからのオープニングメッセージ.

「みなさ〜ん,こんにっちわ〜.(間)あれ〜,ちょっと元気ないなぁ.
もう一回,こんにっちわ〜 (バス乗客:「こんにちわ〜」) 」

しょっぱなからやってくれた志穂ちゃんであった.そしてメッセージの 最後のひとこと.

「元気で津南まで来て下さいね.バスの中で体力使い切らないように.」

もちろん,誰もがそれを履行できる…などとは思っていなかっただろう.

3.車中

8月26日,午後.総勢80名のファンを載せたバスは東京を離れていた, バスは順調に関越自動車道を突き進む.バスの中は「菊池志穂,その歌の 歴史と変遷ショー」ばりに,志穂ちゃんの歌が「フィフネルの宇宙服」を 先頭に時代順に順序よくならべられ流れていたような気がする.CDからのびる ケーブルは持参品.予想通りのコネクタで持参者もご満悦.バスの 中では「明日〜」とか,「L.O.V.E.らぶりぃぱてぃ!」とか,「抱きしめて〜」 とかいった声が控え目な手拍子と共に聞こえていたとかいないとか.とに かくバスの中は音楽と会話と笑いに包まれていた.

突如降りだす豪雨.一つ目のサービスエリアでは天気も持ちそうな雰囲気 だったのだが,予想通りの大雨がバスのフロントガラスにたたきつける. 運転手氏には悪いが,我々は予想がついていたため,落ち着きこそしな かったものの,不安も不気味さも感じなかったのは確かである(笑).

SAで1号車の雰囲気を聞いてみる.すると,みんな眠っているらしい(^^;. さすがに初顔合わせの人間が多くてはなかなか話もしづらいのであろうか. もし何だったら…となぜか2本もあったバス←→CD用接続ケーブルと,編集 済菊池志穂名曲選(笑)を1号車の人に手渡す.あまり静かなのもつまらない んじゃないかな…との配慮であったのだが,どうやら1号車では「著作権の 問題があるからダメ〜」とつれない返事をされたらしい.

そうこう言ううちに雨の強い中高速道路をおり地道を走り始める.PHSの 電波がそろそろ届かなくなり,携帯電話も電波が弱くなりはじめた.電波を 気にする気持ちは分かるのだが,おそらく,携帯電話で私が会話すべき人間 はほぼすべてこのバスの中にいたので問題はなかった…そうこうするうちに 「グリーンピア津南」の看板が見え始めた…まだ道のりは 12km も残っていた.

4.到着

8月26日,午後5時15分.バスはグリーンピア津南本館ホテルに到着.諸注意を 受けた後早速コテージへ移動となった.コテージは非常にきれいでそこそこ 広い二階建てで,冷暖房冷蔵庫キッチンバストイレテレビ完備という,まるで ホテルの一室のようであった.早速我々はクーラーボックス始めとする大荷物 をコテージに運び,麻雀卓をセッティングした(笑).

午後6時30分からディナーパーティということもあり,我々は麻雀を打ちながら ばたばたと着替え始めた.次々と背広に着替えだす面々.山小屋風のコテージの 中はとても不似合いな空気に包まれていた.まるで結婚式/披露宴帰りの麻雀 大会である.中には式服に銀盤,蝶ネクタイとまさにウェイターばりの衣装も 登場し,絶対ここは「キャンプ場に併設されたコテージ」ではなくなっていた と確信している.

麻雀を適当に終わらせ,コテージ 6 及び 7 の面々と合流し…私たちはコテージ 9 のメンバーだった.コテージ 9 は空恐ろしく「濃い」集団であったことを つけ加えておく(爆)…キャンプ場管理棟で集合写真を撮ったのち,徒歩で10分 ほどのホテルへ向かった.途中,おそらくキャンプにやって来たのであろう 10人ばかりの若い人達のそばを通り掛かる.私は聞いてないのだが,一緒に 歩いていた友人がこんなせりふを聞いたという.

「ねえ,あの人達,何? 絶対キャンプに来る格好じゃないよね〜」

5. 会食

ホテルでのディナーパーティ.盛装が正しい服装だと信じてやまないような 会場である.我々は中央後部という,視界的にも食事的にも良好なポジショ ンを取得.会食はバイキング形式であった.ほどなく,上野氏の前説ののち に志穂ちゃん登場.開口一番

「あれだけ普段着で来てって言ったのにぃ〜」

繰り返すが,あの場所では絶対我々の方が正義である.そう思う.

まずは志穂ちゃんの前説があり,食事開始.と同時に参加者全員に記念撮影の サービス.二人並んでのポラロイド写真である.座席番号順ということで我々は 後ろの方であったが,前の方にコテージ 7 の友人たちが並んでいた.つぎつぎと ステージに上がり写真撮影.ふと私はステージを見,そこに座っていた友人と 志穂ちゃんのツーショットを見て,ぼそりとつぶやいた.ただし大声で.

「あ,親子〜」

瞬間フラッシュがたかれ,その直後座席から笑いころげ落ちる友人.写真は 乱れなかったので何よりだが,相当大ウケしたらしい.悪い事をしたな,と思う. それからは滞りなく順序は流れ,私の写真もおすまし状態.ボーイスタイルの 同じテーブルの二人はともかくとして,おおむね真面目な写真をみんな撮影して もらっていたと思われる.さすがにここで一発お遊び勝負に出る自信はさすがの 私にもなかった.

スタッフテーブルには志穂ちゃんと先の上野氏,ワンダーの広瀬っち氏に,子連れ のすまきスタッフ(名前失念).フルーツガムのお姉様スタッフと,志穂ちゃん似の 謎のお嬢さん…さらにワンダー某プロデューサーという面々であった.子供好きの 志穂ちゃんらしく,絨毯の上をよちよち歩きする子供と,食事もそこそこに延々と 遊んでいた.志穂ちゃんの持つ一面をかいま見たと同時に,そのときの,生き生き した表情は印象的だったし,この前の声優コレクション改め渋谷区立菊池幼稚園で も見たような気がする.

一通りお腹もふくれてきたところで再びステージに志穂ちゃんが戻り,まずは質問 コーナー.「台風4号が遅刻しました」などというスマッシュをかわしつつ,例えば 冬コミにはまた本出すよ,と宣言して今後のファンサービス活動にも期待を 持たせてくれたり(そしてスタッフは頭を抱え),今年は厳しいけどライブもやりた いと答えたり,「いったことのない都道府県を全部制覇したい」という, 全国まわりのファンを苦しませてくれそうな発言などもあり,和気合い合いと 質問は進んだ.そんな中….

質問者
「会員番号はいまどこまであるんですか?」
志穂
「わたしわかんないからスタッフさ〜ん」
女性
「455人です」
ファン
「俺461番なんだけど…(^^;;」
女性
「(あわてて)あ,その,485番まであります」

質問者
「もしかして会員番号の前30番ってないんじゃないですか?」
志穂
「私は良く知らないですけど,たぶんありません.だって私も会員証 もらってないもん.0番だっけ,1番だっけ?」

こっそり,フルーツガムカンパニーさんの内情が見えたような気がした(笑).

6. 敗残

負けた.私はその瞬間.思った.私だけではない.同時に戦いの場に出た友人も, 私を良く知る観客の一部も,下手をすると志穂ちゃん本人でさえ,思ったかも 知れない.「彼は負ける」と.

質問大会終了後,レアものプレゼント争奪ビンゴ大会が行われた.ビンゴに 根っから弱い私は,半ばあきらめていた.案の定,次々とロン…じゃなかった, ビンゴが現れる中,私のビンゴカードに空く穴は他者のそれとは大きく水を開け られていた.

ただ,プレゼントの中には確かに強烈なレアものがあるのも認めるのだが, 「ワンダーの机の上のいらないモノ」とか,「VAIO 505 の箱」とか,あげく には「さるタイツ」といった下手をすると罰ゲームにしか見えないような プレゼントまでもが飛び交っていたので,ちょっと安心していた…のは内緒 である.さて,時は流れ,残すところプレゼントはあと 3 個.私もおそまき ながら立直(リーチ)をかけ立ち上がっていた.そして志穂ちゃんがマイクに 向かって告げる.

「これで最後かな? Oの73番!」

よっしゃ! 私は最後の穴を確認し,気合いのひと声とともに飛び出した.油断無く 周囲を確認する.同じテーブルの同志を含め,舞台へ足を向けたのは,4人. 一人多いぞ…ということは,パターンとしてこの決着は…!!

「う.おれの負けやんけ…」

私は毒づいた.

何も言うまい.私はとにかく,ジャンケンに弱いのだ.私のジャンケンの弱さは 私の友人であれば誰もが知っている事実である.これまで築いて来た敗北の山 は計り知れない.去年あった「会心の勝利」もたった一度,それが初めてで あった.…そして私は大阪人.ネタのためには自分の不幸さえ甘受するのだ. ああ.神よ.

戦場に4人の同志が集まった.上野氏のかけ声でジャンケンが行われる.背広の 男とTシャツの若者ふたりづつ.最初の手合はあいこであった.会場からどよめき が洩れる.そして運命の2手合目….

上野
「じゃーんけーん,ぽん!」
「うわぁ,やっぱりぃ!」

言い残してその場に必要以上に大げさにばったりと大の字に倒れる私.やはり, やはり.神は私の勤めをなしとげさせたのだ.戦場に立った時から,私は敗北 する定めだったのだ.私はゆっくりと立ち上がり,勝者たちを見送った.私の 責務は終ったのだ.

とかなんとかいいつつ.さすがに一人負けを追い返すのもかわいそうだな,と 思ったのだろう,上野氏の心使いで舞台にあげてもらえた.ポラロイドに記念の サインをいれながら,志穂ちゃんは私に尋ねた.

「コアラのリボンにひとめぼれさんの…名前何でしたっけ?」

7. 花火

ディナーパーティを終え,コテージに引き上げる.各コテージへの酒の 配分もほどほどに,あっという間にキャンプスタイルに着替えた背広軍団. キャンプファイヤーの会場前に到着したときには,すでに背広の姿はなかった. やっとキャンプの始まりである.

まずは花火を配る.普通の手持ち花火に線香花火.一人5本,となっていた が,多くのファンたちは花火をいくらか持ち込んでいたので,平均10本ぐらい になっていたような気がする.キャンプファイヤー場にはすでに木が組まれ, ガソリンの香りが充満していた.全員集合し,周囲も真っ暗になったころあいに 志穂ちゃん登場.

今夜は盛り上がって行きましょう! の声とともに点火.

8. 狂宴 9. 早起 10. 青春 11. 焼肉 12. 別離 13. 帰郷 14. 終宴